えなとそうすけのパパ

娘と息子を見守るパパの日記

アスペルガーが嫌がられる本当の理由

如何にも某板カルチャーに染まったネット住人が爆釣れそうなタイトルなわけですが、著者の思惑通り(かどうか知らんけども)、絶賛ホッテントリ入りしている注目記事です。

僕はこの記事が放つ悪臭で鼻が曲がりそうなんですが、皆さんどうなんでしょうかね。臭いの発生源は以下の三点かと思います。

「アスペ」という言い回しは最早悪意あるネットスラング

元々「アスペ」という言い回しは悪意の無い短縮語だったのですが、2ch等で「人の話を聞かない奴」の代名詞のように使われ始めてから、特定の人物を叩くときのスラングに成り果てました。

元々ネットカルチャーには理解があるし(業界の人間だし当たり前)、社会的な功罪も一般の人よりも認識が深いと自負してますが、掲示板文化の一番の罪はこうして言葉の意味をすり替えてしまうことですね。使いやすいし流行りやすい。感染力を自覚せずに言葉はどんどん本来の意味を塗り替えて人に伝わっていきます。

この記事の筆者はこの事を知ってか知らずか、「アスペルガー症候群」「アスペルガー」「アスペ」を一つの記事の中で煩雑に使い分けています。もしくは文章力が無いのか。とにかく統一性が無く乱用しています。
ここでは、ネットでのアスペルガー症候群の人たちの発言についてではなく、 現実の職場や友達つきあいでのことを書きます。 (私の従兄がアスペルガーで、知人友人にアスペがいます。)
もしこれが、意図的に「アスペルガー症候群」に苦しむ人達を貶めるために、短縮語のみならず本来の呼び名でさえも悪意ある単語に塗り替えようとしているのなら。そう思うと悪臭がより強まります。

逆に、全く意図無く統一性を持たせられないのであれば、その程度の文章力で発達障害という難しい分野に口を出してはてブ稼ぐようなしょうもない事をするなと、いった臭みもあります。

とにかく、僕は「アスペ」という言葉を「アスペルガー症候群」の人々を揶揄する際に使おうとする行為に吐き気がします。

自身がアスペルガー症候群に理解ある立場のように振舞っている

これが、正しいアスペルガーの症状の説明であり、だからこそ、アスペは皆から煙たがられたり、 一つの職場にずっといられなかったり、離婚されたり、子供が成人するとすぐ家を出てしまう… ということが起きる大きい原因の一つになる…と、私はアスペを直接見たり、世話をしてて思います。 ちなみにアスペでも配偶者と幸せに暮らしてる人とか、軽度の人はいるとは思います。 アスペを全否定はしませんが、わたしの考えはそんな感じです。 アスペのお世話をしている健常者の人だったら、わかってくれるとは思います。

「アスペルガー症候群」に限らず、発達障害の現場においては、「近親者」にこうした知ったかぶりや無理解が存在します。悲しいことにそれは事実です。

そしてさらに、こうした親しい無理解者が世話をすることで、回復どころか症状が悪化するのが発達障害の難しい所です。

発達障害とは読んで字のごとく、「本来、心身ともに健常である場合に見込める身体的・精神的な発達を阻害する原因がある状態」を指すわけですが、つまりトレーニングを重ねたり治療をすることで症状が緩和される類のものです(勿論症状のレベルによります)。その為、他の病気全般と同様、「早期発見」と「適切な処方」が必要なものです。

「早期発見」とは、近親者が幼児期の早い段階で察知するのが望ましいです。注意深く行動を観察して、なるべく早い段階で信頼のおける専門医に受診させるということです。

「適切な処方」とは、常に行動を見守ることの出来る近親者が、専門医が出した適切な処方に基づいた支援やトレーニングを施し、症状を改善させていくことです。

アスペルガー症候群の人間を「世話」するというのはこういうことです。そもそも彼らは知的障害がほとんど無く、専門分野において才能を発揮することも多く、偉そうに「世話する」必要も無い程、自立できる存在です。ただし、そのままでは様々な場面でトラブルを背負い込む可能性がある為、本人にも自覚をさせつつリスクを回避するのが望ましいです。

ですが、この筆者のやっていることは、アスペルガー症候群を「世話」する場合において最もタブーである、「レッテル貼り」や「晒し」に当たります。つまり、近親者であることが本当であれば、正に獅子身中の虫。一緒にいる時間が長ければ長いほど相手にダメージを与える存在です。
もしこれが子に対する親であれば、僕の感覚ではネグレクトに相当します。

さも理解ある人間のように振舞い、「自分だけが知っているアスペの真実」のような釣りタイトルをつけ、真実自分はアスペルガー症候群の最大の敵である事を秘匿する(したつもりになっている)。そういった心根が文章からにじみ出ている為、凄まじい悪臭となって僕を襲っているわけです。

匿名ダイアリーである

別にブログだろうが、本名だろうが別にどうでもいいのですが、匿名ダイアリーでこうした偏った記事を書き、歪んだ承認欲求を満たそうとする行為そのものが臭いです。

早い話がこの記事は障害者に対するヘイトスピーチでしかないのに、顔も名前も晒さず、レイシストのレッテルを貼られる覚悟もなく、涼しい顔で匿名ダイアリーに書き込むその姿勢が臭い。

この内容が釣りであろうが、本当であろうが、特定の誰かを貶める記事を書く人間は、自身も特定され反撃を受ける覚悟を持ちなさいということで。切り込み隊長のブログでも読んどけ。


「ネタにマジレスwwwww」というツッコミも恐れずに書いた。何故なら「発達障害」の問題は30代を過ぎて子供を生む事を選んだ僕達の世代全員が意識すべき問題だし、近親者でなかろうが知らない顔の出来ない社会問題だから。これが「釣り」であっても、知見の浅い層は「アスペ」という単語を誤用し続ける。僕はそれが我慢ならない。

ブコメにもありましたが、この筆者自身が「アスペルガー症候群」であるという指摘。言い得て妙ですが、違います。この人は「アスペ」です。

試しに他人に対して使ってみたけどやっぱり吐き気がする。二度と使わない。 

※僕より文章力があり深く掘り下げて解説してる人が居たので併せてどうぞ
『アスペルガーが嫌がられる本当の理由 』の邪悪な錬金術 

babysmile
久しぶりに買ってよかった!そう思えるベビーグッズが現れました。

ここしばらく下の子が生まれてから頭を悩ませていたのが、鼻水問題。赤ん坊は自分で鼻をかむことが出来ないので、ティッシュで拭きとるか、鼻吸いで僕らが吸い出してあげなければならない。それが結構苦労する作業なのでした。

鼻吸いと言えばポピュラーなのは、吸口がストローで繋がっており、親が口で吸い取ってあげるもの。

ママ鼻水トッテ 【5セット】
ママ鼻水トッテ 【5セット】
こういうやつですね。安いしドラッグストアならどこでも売ってます。

ただし、こういうタイプって割りとデメリットもあるんですよね。
  • 吸う力は親の肺活量に依存する
  • 毎回分解して洗浄・メンテナンスが必要
  • 感染症に罹る危険性がある
「ベビースマイル」はそれらのデメリットを適度に解消してくれるアイテムでした。

安定した吸引力で鼻水を除去

前述の通り手動タイプは親が血管をピクピクさせながら思いっきり吸い込まないと鼻水が出て来ません。
かなり頑張らないとそもそも除去できないんですね。あんまり鬼の形相で吸い込んでると赤ん坊も怖がって超泣きます。愛すべき両親がそんな顔をしつつ自分の鼻に訳わからんもの突っ込んできてるので、それはそれは泣きます。

また、赤ん坊の鼻水はどこに潜んでるかわかりづらいので、ノズルの角度を何度も変えて吸えるポイントを探さなくてはなりません。そうなると吸っていく時間も長くなり、親子共に負担が大きくなります。

「ベビースマイル」ならボタンひとつで一定の吸引力で吸い込み続けるので、落ち着いて除去できます。抱っこしながら声かけながら(手動タイプはそもそも口が塞がってる)。毎日使うものなので親も子も落ち着いて使える道具の方が良いですね。

メンテナンスが楽

分解して洗浄しなきゃならない所は手動式を同じなのですが、ノズルを外してじゃぶじゃぶ水洗いするだけです。本体部分が電動なので水に弱いかと思いきや、吸引口を水に突っ込んで洗えます。思った以上に楽。

紹介動画で水洗いの様子が見れます。
洗った後は次に使うまで乾かしておけばいいので、神経質に水気を拭いたりもしなくていいです。勿論組立も簡単。

直接口で吸わないから感染症も怖くない

手動式鼻吸いが抱える一番のリスクは感染症です。風邪をひいた赤ん坊の鼻から直接口を通じて吸うので、親が感染する可能性があります。それでも鼻づまりの子は哀れだから身を削ってでも親は吸うわけですが、実際にそれで喉を痛めたり、熱を出したりと実害として表れてきます。

実際妻は連日の鼻吸いで喉をやられたし、保育園の先生に聞いた所、保育現場でも慢性的に発生する問題なのだそうです。庇護する立場の大人がそのパフォーマンスを低下させるというのは、いくら子の健康の為とは言えナンセンスですよね。

電動式に切り替えて一番捗ったのは、この健康維持です。この点だけを見ても、手動式から変えて良かったと思えます。

寝付けなかった息子が熟睡してる

これは嬉しい誤算。ここ最近息子の夜泣きが激しかったのですが、鼻づまりによる呼吸困難が原因だったんですね。仰向けにして寝かせると、鼻水が喉に廻って咳き込むし、うつ伏せは窒息の可能性があるから心配だし。結果的に息子は連日寝苦しい思いをしていたようです。

しかし、寝る前にしっかりと鼻水を吸ってあげると、どうやら呼吸も楽になるようで、あれ程僕ら夫婦を悩ませていた夜泣きも少なくなりました。これはいい。ガンガン吸おう。だって僕らもゆっくり眠れるもの。子供の安眠は親の安眠です。

その他、鼻水を定期的に吸う、というのは子供の中耳炎防止に効果的なようです。たかが鼻づまりといえど、我々大人は鼻をかむだけで防止できている事が、赤ん坊は全てを大人に預けなくてはなりません。そう考えると多少値の張る電動式にするのも、悪くない選択肢だなと思ったわけです。

電動鼻水吸引器 ベビースマイル S-302
電動鼻水吸引器 ベビースマイル S-302 [Baby Product]


さーーて、今回は金もらって書いてる風に書けたかなー。

ブログネタ
3.11 東日本大震災について話そう に参加中!
東日本大震災から2年。ブログにその記憶を残しませんか?

そんなことを言われたので書き記してみようと思う。

その瞬間僕はハンターだった。

遅めのランチタイム。
やよい軒でカツ丼+うどん定食を5分で飲み込み、空いた時間で同僚とモンハンをしていた。
その時受注していたクエはこれだったと思う。
選ばれし者とは(連続狩猟)
闘技場(50分)
ロアルドロス亜種
ギギネブラ亜種
アグナコトル
ボルボロス亜種
ギギネブラ亜種のスタンを狙いつつ3溜めを繰り返してた頃、店内がフルフルと揺れ始めた。

「あー地震だねー。」
「や、隣のおっさんの貧乏揺すりちゃう?(小声)」
「まあ俺らは今目の前の狩りに集中すべきだ。遊びじゃないんだぞ。」
「せやな」

・・・・・・・・・・

「ちゃうな。これちゃうわ。これあかんやつや。ちょ、店出ぇへん?」
「ん???狩りどうすんだよ!!」
「や、ちゃうって、これほんまやばいやつやと思う。出よう。マジで外出よう。」

ふと店内を見渡すと。店員を含め客も皆中腰で店内をキョロキョロしている。揺れが強くなる。

「あ、そだなこれ。出るか」

店を出た瞬間信じられない光景を見た。

さっきまで働いていたオフィスビルが「しなって」いた。何を言ってるかわからねーと思うが、や、もうみんな分かるはず。文字通り倒壊するんじゃないかと思うぐらい「しなって」いた。

「まじでか。」
「あっっかん!!これまじあかんで!!!」
ちょ、、さっきからこいつはどんだけテンパってるんだ。この光景を見ても僕はまだ呑気に突っ込む余裕があった。すると、

「ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!」

同僚の女性がパンプス持って裸足で走ってきた。いやいやいやいや。靴履こうよ。
なんとその女性、20階以上の階段を駆け下りてきたらしい。健脚すぎんだろ。

まだ余裕があった。

「なんなの皆!!必死で避難しようって言ってるのに!!皆笑って仕事してるの!!!馬鹿じゃないの!!??」

いやそのテンションなら苦笑い。まだまだ僕には余裕があった。
で同僚とツッコミ入れよう、と思ったら同僚も。

「どこに逃げる!?公園あったっけ!!??マジでここやばいで!!行こうやはよ!!!」
おまえもか。待て待て落ち着け。こんなんすぐ止むって地震大国の国民かお前らほんとに。

と、ここに来てようやく気づいた。何となく騒いでる人のほとんどが「関西弁」だ・・・。
道端で電話かけまくってる人もちょっと西のイントネーション。そうだ、
この女性、今標準語だけど関西出身だった・・・。

この時ようやく背筋に寒いものが走った。なんだこの人達の「知ってる」感覚。なんでこんなにも温度差がある?

・・・「阪神」を思い出してる??
そうだこの人達、学生の頃あの震災を経験してるんだ。

それに思い当たってから恐怖が増していった。後から聞いたが、やはりこの日の空気は「阪神大震災」と同じ性質だったと言う。

電話つながらん!!

その時ようやく留守電が一本入ってるのに気がついた。おおむろに再生すると、

「パパ!!!??パパ!!助けて!!!」

これだけ入ってた。妻からだ。は、、はい??えーと、、
ここでスイッチが入った。ようやくだ。遅かったー。この時ようやく僕の脳は「大災害」を認識した。実に15分はかかったと思う。ポカンとした顔で死ぬには十分な時間だった。

僕が石巻に居たとしたら、この15分で津波に巻き込まれたであろう。

何はともあれ妻に電話をかけまくった。が、出ない。出ない。まるで出ない。というよりもキャリアからのメッセージが流れる。「ただいま通話が混み合っております。」周りを見渡すと全員が携帯を耳に当てて苛立っている。

こいつはいよいよヤバイ。もう会社はいいや。取り敢えず家に帰ろう。というかどこが震源かもわからない。ひょっとしたら家の近くで、新宿よりも遥かに被害が大きいのかもしれない。

そう思って地下鉄にダッシュしたのだが(それも今思えばアホな行動)、人だかりの向こうで駅員が「全線停止してます!!」キタコレ。

次に思い当たったのは自転車。当然持ってないから買う!財布には幸い万札が数枚。歌舞伎町のドンキにダッシュ。そこで2回目のSHOCK映像を見た。

街が流されてる。

歌舞伎町のLABI。出来たばかりのヤマダ電機ビルに備え付けられた大型ビジョンに映しだされた光景は、完全に作り物だった。陳腐な表現だがハリウッドの新作パニック映画だった。唯一現実を意識させるのは、自分と同じように画面を見上げている人の中に、泣きじゃくっている人、半狂乱で携帯に向かって叫んでる人が居たこと。

そこで初めて震源が「東北らしい」と知った。東北。僕のふるさと。「とうほくのなにけん?」まさに平仮名で口にだしていた。誰も答えてくれないし、誰もがみんなブツブツ独り言を呟いていた。

実家に電話。出ない。親父とお袋の携帯に電話。出ない。兄貴に電話。出ない。実家に電話。出ない。

この時の冷静さは見事なもので、恐らく脳が回路を切ってしまったのだと思うけど、とにかく今は電話に出ない。だから妻の元に急ごう。とさっさとドンキに向かった。我ながら無表情だったのがわかった。

ところが困ったことに、ドンキのレジが停電で止まっていた。会計出来ないという。また、商品を奥から出すこともできないと。

そこで、店頭に陳列されていた現品を、現金でお釣りも受け取らないという条件で引き取らせてもらった。本当は不味い筈なので、店員さんは必ず後日連絡が欲しいと言っていた。多分店長には怒られたんじゃないか。でもあの店員さんのおかげで僕は足を手に入れることができた。

家まで16km。がんばれドンキのママチャリ。

新大久保から下落合を抜けて新目白通りへ。埼玉へ向かう道のりは険しい。しかも通りにはパトカーのサイレンがけたたましく響いてるし、遠くでは消防車の鐘も。地面が割れたりはしてなかったけど、道中のTwitterで舞浜で液状化現象が起きてたり、コンビナートが炎上してたりという事実を知った。

日本終了のお知らせかと思ったが、とにかく無心でペダルを漕いだ。

寒い日だったが汗だくでマンションに着き、エレベーターは動いてなかったので階段をダッシュで駆け上がり、自宅に入った。

オワタ。と思った。食器はバラバラ。棚は傾き色んなものが散乱してた。

娘も妻も居ない。パニック。居ない。いや居ないっておかしいだろ。怪我して倒れてるならまだしも。

そこで妻子の無事を確信した。この日は自宅に居たはずだから、留守電はこのマンションからだったはず。ならば避難所に移動したのだと判断した。

結果的に大外れで、保育園に居た。俺涙目。割と急ぎ目に向かい妻子と再開した。第一声は「あ、パパきたwwww」ヴァリアブル呑気。ホッとしたぜおバカさん。

その他、原発の様子見ながら徹夜したり、節電計画を話し合ったり、両親が実は松島で孤立してたりと、アホみたいに心配事が増えていったわけだけど、何とか家族親族誰一人欠けずに済んだ。よかったなあ。

とにかく、東北がんばれ。超がんばれ。

※と思ったら前回のエントリー今年だった。

前回のエントリーが重すぎてドン引きされているわけですが、ほっとくと1年以上数ヶ月ブログを書かないというのは、ほんとこう、マジでブログのお仕事に携わってんのかなってぐらい駄目な会社員だと思うのです。

さて、2012年6月5日 16時03分、長男の奏佑(そうすけ)が誕生しました。
いまさらですが世界の皆さん、新入りをよろしくお願いします。

前回のズン引きエントリーから1年以上数ヶ月が経過してるわけですが、読み返すことのなかったこの記事を改めて読むと、感慨深いもの以前に誤字の多さにビビるわけでございます。

家族が増えて不幸なのはたえちゃんぐらいだよ。 

しかし、前回喪った次女の命日が6月8日で、長男の誕生日が6月5日のあたり、普段口開けて生活してる僕もさすがに物思いに耽ってしまう感じでございます。

今回の出産は予定日よりも早くなってしまったのですが、実は本来の予定日は6月8日でした。
狙ってそうしたわけでもないのだけど、赤ちゃんの成長スピードから逆算して最適な分娩日でいうと、その日だった。元々計画分娩で帝王切開だったので、日にちは如何様にもできたのだけども。

運命論を語るほどろまんちすとでもないのだけど、めるへんちすとの嫁の言を借りると、

「神様が次女にちんこくっつけて返してきた」

だそうです。夫婦揃ってちんこ引用がお好きです。 


さて、この放置ブログも息子の誕生と共に再度更新を続けていこうと思うのです。
こんな景色を見せてもらってるのだから、筆不精も大概にしないといけないなと。

enasou

仲良くやれよ。姉弟。

妊娠中の妻が受けた羊水検査の結果が出た。


結果は異常なし。


二人で飛び上がるほど喜んだ。本当に嬉しくてテンションが上がってる。「いや異常なしって普通じゃん」って思うんだけど、この普通が嬉しい。本当に嬉しい。

余り自分の気持ちをブログに残そうってモチベーション無かったんだけど、何故かこのことは忘れたくなくて記録しておこうと思う。たぶん忘れたりしないんだけど、色々考えて、その時どう思っていたのか文字にしようと思った。


この妊娠は三回目だった。

二番目の女の子は、病気で亡くしてしまった。


去年の5月頃、定期健診の時、産科医にこう言われた。

「首の後ろにむくみがあります。」

初め言っている意味がわからなかった。僕自身が勉強不足だったこともあるけども、妻の真っ白な顔色を見てすぐに「ただごとじゃない」と思った。


胎児の首のむくみは「NT(Nuchal Translucency)」といって、妊娠初期の胎児の後頭部に出来る皮下浮腫の事。

循環バランスがくずれた際に生じることのあるむくみだけど、ある疾患がある場合、その徴候として見られる場合がある。


疾患とは、「染色体異常」だ。

主に「ダウン症」等に代表される、遺伝子に問題がある場合に発症する病気で、心臓や四肢、精神にも影響を与えるもので、勿論有効な治療法も存在しない難病だ。


勿論むくみがあったからといって100%「染色体異常」とは限らない。直接の関連性は無いとする説もあるし、いつの間にかなくなってしまうケースもあるらしい。ただし、遺伝子疾患を持って生まれてくる子供の多くは、首にむくみが確認できたケースが多いという事実もある。


こういう場合、「そうとは限らないから」という慰めは何の意味もないと知った。


妻は軽くパニックに陥った。僕もそうだった。ただでさえ高齢出産になるし(妻は34歳)、年齢が上になればなるほど異常の確立は上がるのだ。

http://www.downdiswalk.com/kind/ninsin.html

「ダウン症児」の出生率を見てみると…20歳で1667分の1、30歳で952分の1、35歳で378分の1、40歳で106分の1、45歳で 30分の1となっています。一方、「ダウン症」以外で何らかの染色体異常を持った赤ちゃんが生まれる確率は、20歳では526分の1、30歳では385分の1、35歳では192分の1、40歳では66分の1、45歳では21分の1になります。


1/192。


192人の内、たった一人が染色体に異常を持って生まれてくる。賭けとしてはゆとりがあるように見えるが、我が子だ。高すぎる。高すぎる確立だった。

しかも、追い打ちをかけるように産科医は続けた。


「むくみが認められて、その年齢の場合、確立は1/10までに上がります。」


10人に一人。もう何も考えられなかった。

それから、妻とは何度も話し合った。喧嘩にもなった。妻を慰めるのが日課になった。


産科医からは「羊水検査」を勧められた。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%8A%E6%B0%B4%E6%A4%9C%E6%9F%BB

羊水検査(ようすいけんさ)とは出生前診断の一種。妊娠子宮に長い注射針に似た針を刺して羊水を吸引すること(羊水穿刺)によって得られた羊水中の物質や羊水中の胎児細胞をもとに、染色体遺伝子異常の有無を調べる。妊娠15~18週とかなり胎児が大きく育ってから実施される。羊水検査で診断できるのは遺伝子など特定の異常に限られており、すべての異常が調べられるわけではない。


異常の可能性は限りなく高いわけだから、疑念を晴らしておかなくてはならないし、もしこの結果がシロなら、とりこし苦労で妻の心も安らぐはず。10人に一人なら、まだゼロじゃないし、無事な可能性は十分にある。


妻は気丈で、「まだ決まったわけじゃないのに、この子に失礼だから」と、殆ど涙を見せなかった。本当は喚き散らしたい程のプレッシャーなはずなのに。妻は泣かなかった。


羊水検査を受けて、結果を待った。


結論からいうと、賭けには負けた。

赤ちゃんの染色体には異常があった。しかも、僕らの予想をはるかに超えて深刻な疾患を持っていた。


18トリソミーだった。
 

http://www.princess.ne.jp/~yukina/18trisomy.htm

【18トリソミー】

21トリソミーに次いで多い染色体の数的異常症で、5000人に1人の頻度で出生します。しかし、合併する心臓や腎臓や中枢神経系の奇形が重篤なため重度の発達遅延を伴い、1歳までにその90パーセントが死亡してしまいます。18トリソミーは女子が多く、出生時に頭蓋変形や独特の手指の屈曲など特異的な外形奇形がみられます。


正直、ダウン症だったとしても、正面から向かい合って親として最大限できることをして、少しでも娘の負担を軽くできるように、自分の人生の全てを費やす覚悟もあった。親よりも早くこの世を去ってしまう事になっても。「生まれてきてくれてよかった」と笑顔で包んであげる事もできたかも知れない。


でも、娘は新生児の遺伝子疾患の中でも最悪の18トリソミーを患っていた。

1歳までの生存率が10%。ここでも確率か。確率なんて意味ない。娘の命がどうなるか。1%でも99%でもどうでもいい。

それでも確率論は続く。生後2ヶ月で、50%が死に至るという。


この結果は、妻がメールで知らせてくれた。

これを打っている妻の手はどのぐらい震えていたのだろう。誤字もなく、支離滅裂な内容もなく、簡潔に書かれたメールを、僕は会社の会議中に見た。あの会議の内容は未だに思い出せない。同僚には申し訳なく思う。


産科医の話では、無事に生まれる確率も限りなく低いという。予定日を待たずに胎内で死んでしまう例や、産後数時間で死んでしまう事が多いそうだ。


例え無事に生まれても、直後にカプセルに入れられ、人工呼吸器をつけ、体中に管を刺され、苦痛にまみれた生誕になるという。勿論妻は抱かせてももらえない。もし抱かせてもらえるとしたら、息を引き取るその瞬間だけだろう。


妻と話し合い、堕胎することにした。

妻は気丈なままだったが、時々声を詰まらせながら「今なら、まだ感覚器も未成熟で、痛みや苦しさをそこまで感じないかもしれない。夢を見ているような感覚で天国に行けるかも知れない。完全に赤ちゃんとしての感覚がわかるようになってから、ママに抱っこもされないで一人ぼっちで逝かせるのは嫌だ。」そういった。


でも、辛い現実は続く。

一言で堕胎と言っても、もう赤ちゃんは赤ちゃんの形をしていた。通常の処置をするには育ちすぎているのだ。

思えば僕らには悩む時間も与えられなかった。時間が経てば経つほど処置のリスクは高くなっていくのだ。


その方法は、「出産」だった。


誘発剤を使い、普通どおり「出産」するのだ。

これ、こんなことってあるのかな?って思った。俺たちが何をしたんだろう?って。

幸せの中で生まれてくる命なのに。それなのに、「天国に送り出す為の出産」なのだ。


妻はよく耐えたと思う。僕が女性だったとすれば、女性の最高の栄誉と幸福である出産を、「赤ちゃんの死」を想いながら迎えなければならないとしたら、気が狂うんじゃないだろうか。


事実、妻は気が狂う寸前だったろう。それでも、それでも妻は泣かなかった。

「一人で天国に行く時、ママが泣いていたら心配だろうから。」そういった。


2011年6月8日。娘は生まれ、そして天国に旅立った。


妻は娘に名前をつけた。「そら」というひらがなの名前だ。

妻曰く、「外に出た時、空を見あげれば思い出せるから」だそうだ。34にもなるのにずいぶんとメルヘンチックな妻だ。

でも僕はなるべく優しく頭を抱いた。


数日後、僕と妻と、3歳になる長女とたった三人で、「そら」のお葬式をした。

本当に小さな棺桶だった。それでも花がぎっしりで。娘は病気とは思えないほど優しい顔をしていた。


焼けた骨は、冗談みたいに小さな骨壷に納まった。それでも立派な壺に入れてあげた。

妻はようやく、泣いた。


ただ、火葬の際、トラブルが起きた。

焼き場の人が、確認の際、「男の子ですね?」と言ったのだ。

書類にも「男性」と書かれていた。


全身の血の気が引いた。


「取り違え?」


検査の結果が、別な子供のものだったんじゃないか。

僕らは病気の無い正常な赤ちゃんを焼いてしまったんじゃないか。

まさか。


そう思って病院に電話をした。

結果は、ただの書き間違えだった。でも、たったそれだけの間違えでも、張り詰め続けた妻の心を乱すには十分だった。

今までの我慢をぶちまけるように、妻は泣いた。


「あたしのせいで。」

「ママがちゃんと産んであげられなかった。」

「ごめんね、ごめんね」


僕はその全てを否定して、慰め続けたが、妻が落ち着きを取り戻したのはその人の夜だった。

それでも、妻は涙を流し続けた。


娘の骨は未だに納骨堂に収める事ができず、自宅で僕らのそばにいる。

僕もそうだが、妻が「そばを離れたくない」と言うのだ。元々信心深くない僕ら夫婦は、娘の骨を未だ手放すことが出来ずにいる。(仏教的にはよくないらしいが)


これが僕ら家族と、2番目の赤ちゃんとの別れだ。



その出来事から、数ヶ月の事。妻が「赤ちゃんが欲しい」と言った。

正直面食らったが、妻の想いはこうだった。


「恵那に兄妹を作ってあげたい。家族を失ってわかるのだけど、家族って沢山居たほうがいい。それに、今がんばらなければ、高齢出産のリスクは高まるいっぽう。来年にすればまた確率があがるし、再来年ならさらに。私の心の傷が癒えるまで待っていたら、また赤ちゃんに辛い思いをさせてしまう。今がんばるしかない。」


女性が強い時代というが、まさに妻の心を癒すことしか考えていなかった僕は、なんと頼りない夫なのかと。

妻は一昨年、実の母親を癌で亡くしている。闘病と介護の2年間で、家族を失う事とその意味を考え続けたのだろう。そこにきて、今回の出来事だ。

妻は涙にくれながらも、幸運にも元気に生まれてきた長女と、家族の事を考え続けてた。

こんな妻だから僕は愛し続けられるのだ。


そして、二番目の娘を失った同じ年、三人目の命が妻のお腹に宿った。


だが、油断は出来なかった。また同じ事を繰り返すのはさすがにもう勘弁だった。

だから、今回も羊水検査をした。向きあうために。


そして昨日、結果が出た。

異常なし。元気な男の子だ。


男の子だぜ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、「そらが帰ってきたのかな」って思ってた。

でも僕自身輪廻転生とか興味ないし、やっぱりそらはそらで、この子はこの子なんだ。


勿論、羊水検査の結果って全ての異常がわかるわけじゃないし、まだまだ油断はできない。

というか子育てって何が起こるかわからないし、悲観的になっても楽観的になってもしょうがない。

目の前の事に正面から向き合うって事が一番大事なんだね。と、僕が言ってるわけじゃなく妻が言ってる。


僕は子供を溺愛する。長女も今まで異常に可愛がるし、お腹の中の男の子も分身のように愛するだろう。

僕の人生にそんな彩りを添えてくれた妻に心から感謝する。そして、愛している。


家族は良いよ。ほんと家族が増えて不幸なのはたえちゃんぐらいだよ。これ言いたいだけ。

ググるの禁止な。

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