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- 3.11 東日本大震災について話そう に参加中!
そんなことを言われたので書き記してみようと思う。
その瞬間僕はハンターだった。
遅めのランチタイム。やよい軒でカツ丼+うどん定食を5分で飲み込み、空いた時間で同僚とモンハンをしていた。
その時受注していたクエはこれだったと思う。
選ばれし者とは(連続狩猟)ギギネブラ亜種のスタンを狙いつつ3溜めを繰り返してた頃、店内がフルフルと揺れ始めた。
闘技場(50分)
ロアルドロス亜種
ギギネブラ亜種
アグナコトル
ボルボロス亜種
「あー地震だねー。」
「や、隣のおっさんの貧乏揺すりちゃう?(小声)」
「まあ俺らは今目の前の狩りに集中すべきだ。遊びじゃないんだぞ。」
「せやな」
・・・・・・・・・・
「ちゃうな。これちゃうわ。これあかんやつや。ちょ、店出ぇへん?」
「ん???狩りどうすんだよ!!」
「や、ちゃうって、これほんまやばいやつやと思う。出よう。マジで外出よう。」
ふと店内を見渡すと。店員を含め客も皆中腰で店内をキョロキョロしている。揺れが強くなる。
「あ、そだなこれ。出るか」
店を出た瞬間信じられない光景を見た。
さっきまで働いていたオフィスビルが「しなって」いた。何を言ってるかわからねーと思うが、や、もうみんな分かるはず。文字通り倒壊するんじゃないかと思うぐらい「しなって」いた。
「まじでか。」
「あっっかん!!これまじあかんで!!!」
ちょ、、さっきからこいつはどんだけテンパってるんだ。この光景を見ても僕はまだ呑気に突っ込む余裕があった。すると、
「ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!」
同僚の女性がパンプス持って裸足で走ってきた。いやいやいやいや。靴履こうよ。
なんとその女性、20階以上の階段を駆け下りてきたらしい。健脚すぎんだろ。
まだ余裕があった。
「なんなの皆!!必死で避難しようって言ってるのに!!皆笑って仕事してるの!!!馬鹿じゃないの!!??」
いやそのテンションなら苦笑い。まだまだ僕には余裕があった。
で同僚とツッコミ入れよう、と思ったら同僚も。
「どこに逃げる!?公園あったっけ!!??マジでここやばいで!!行こうやはよ!!!」
おまえもか。待て待て落ち着け。こんなんすぐ止むって地震大国の国民かお前らほんとに。
と、ここに来てようやく気づいた。何となく騒いでる人のほとんどが「関西弁」だ・・・。
道端で電話かけまくってる人もちょっと西のイントネーション。そうだ、
この女性、今標準語だけど関西出身だった・・・。
この時ようやく背筋に寒いものが走った。なんだこの人達の「知ってる」感覚。なんでこんなにも温度差がある?
・・・「阪神」を思い出してる??
そうだこの人達、学生の頃あの震災を経験してるんだ。
それに思い当たってから恐怖が増していった。後から聞いたが、やはりこの日の空気は「阪神大震災」と同じ性質だったと言う。
電話つながらん!!
その時ようやく留守電が一本入ってるのに気がついた。おおむろに再生すると、「パパ!!!??パパ!!助けて!!!」
これだけ入ってた。妻からだ。は、、はい??えーと、、
ここでスイッチが入った。ようやくだ。遅かったー。この時ようやく僕の脳は「大災害」を認識した。実に15分はかかったと思う。ポカンとした顔で死ぬには十分な時間だった。
僕が石巻に居たとしたら、この15分で津波に巻き込まれたであろう。
何はともあれ妻に電話をかけまくった。が、出ない。出ない。まるで出ない。というよりもキャリアからのメッセージが流れる。「ただいま通話が混み合っております。」周りを見渡すと全員が携帯を耳に当てて苛立っている。
こいつはいよいよヤバイ。もう会社はいいや。取り敢えず家に帰ろう。というかどこが震源かもわからない。ひょっとしたら家の近くで、新宿よりも遥かに被害が大きいのかもしれない。
そう思って地下鉄にダッシュしたのだが(それも今思えばアホな行動)、人だかりの向こうで駅員が「全線停止してます!!」キタコレ。
次に思い当たったのは自転車。当然持ってないから買う!財布には幸い万札が数枚。歌舞伎町のドンキにダッシュ。そこで2回目のSHOCK映像を見た。
街が流されてる。
歌舞伎町のLABI。出来たばかりのヤマダ電機ビルに備え付けられた大型ビジョンに映しだされた光景は、完全に作り物だった。陳腐な表現だがハリウッドの新作パニック映画だった。唯一現実を意識させるのは、自分と同じように画面を見上げている人の中に、泣きじゃくっている人、半狂乱で携帯に向かって叫んでる人が居たこと。そこで初めて震源が「東北らしい」と知った。東北。僕のふるさと。「とうほくのなにけん?」まさに平仮名で口にだしていた。誰も答えてくれないし、誰もがみんなブツブツ独り言を呟いていた。
実家に電話。出ない。親父とお袋の携帯に電話。出ない。兄貴に電話。出ない。実家に電話。出ない。
この時の冷静さは見事なもので、恐らく脳が回路を切ってしまったのだと思うけど、とにかく今は電話に出ない。だから妻の元に急ごう。とさっさとドンキに向かった。我ながら無表情だったのがわかった。
ところが困ったことに、ドンキのレジが停電で止まっていた。会計出来ないという。また、商品を奥から出すこともできないと。
そこで、店頭に陳列されていた現品を、現金でお釣りも受け取らないという条件で引き取らせてもらった。本当は不味い筈なので、店員さんは必ず後日連絡が欲しいと言っていた。多分店長には怒られたんじゃないか。でもあの店員さんのおかげで僕は足を手に入れることができた。
家まで16km。がんばれドンキのママチャリ。
新大久保から下落合を抜けて新目白通りへ。埼玉へ向かう道のりは険しい。しかも通りにはパトカーのサイレンがけたたましく響いてるし、遠くでは消防車の鐘も。地面が割れたりはしてなかったけど、道中のTwitterで舞浜で液状化現象が起きてたり、コンビナートが炎上してたりという事実を知った。日本終了のお知らせかと思ったが、とにかく無心でペダルを漕いだ。
寒い日だったが汗だくでマンションに着き、エレベーターは動いてなかったので階段をダッシュで駆け上がり、自宅に入った。
オワタ。と思った。食器はバラバラ。棚は傾き色んなものが散乱してた。
娘も妻も居ない。パニック。居ない。いや居ないっておかしいだろ。怪我して倒れてるならまだしも。
そこで妻子の無事を確信した。この日は自宅に居たはずだから、留守電はこのマンションからだったはず。ならば避難所に移動したのだと判断した。
結果的に大外れで、保育園に居た。俺涙目。割と急ぎ目に向かい妻子と再開した。第一声は「あ、パパきたwwww」ヴァリアブル呑気。ホッとしたぜおバカさん。
その他、原発の様子見ながら徹夜したり、節電計画を話し合ったり、両親が実は松島で孤立してたりと、アホみたいに心配事が増えていったわけだけど、何とか家族親族誰一人欠けずに済んだ。よかったなあ。
とにかく、東北がんばれ。超がんばれ。
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